ホーム 日本語 「教師の鏡」「攻撃を交わす」「間に受ける」:間違いやすい漢字3選

「教師の鏡」「攻撃を交わす」「間に受ける」:間違いやすい漢字3選

「教師の鏡」「攻撃を交わす」「間に受ける」

「教師の鏡」「攻撃を交わす」「間に受ける」。頻繁に見かける誤字を三つ厳選して紹介します。

さっそく例題を用意しました。どこを直すとよいか、わかりますか?

  • 先輩はまさに部員の鏡です。
  • 嫌みを言われても、のらりくらりと交わす。
  • 社交辞令を間に受ける。
例題の答え

例題の答え

正解は以下の通りです。

  • 先輩はまさに部員のです。
  • 嫌みを言われても、のらりくらりと交わす躱す
    (※ひらがな「かわす」が一般的)
  • 社交辞令をに受ける。

「〜の鏡」か「〜の鑑」か

「鏡」=映し出すもの

「鏡」は姿や形を映して確かめるための道具です。よって、上の例文にはふさわしくありませんね。

鏡は自分の姿を映すことから、比喩的に「みずからの行いを見つめ直すための見本」という意味を込めて使われることもあります。「人こそ人の鏡」とはよく言ったものです。

「鑑」=手本、模範

「鑑」は、「人の手本や模範になるもの」という意味です。「後進の鑑」「人間の鑑」のように使うことができます。

上の例文は、「先輩は模範的な部員である」といいたいので、「部員の鏡」ではなく「部員の鑑」とするのが適切です。

「〜を交わす」か「〜を躱す」か

「交わす」=やりとりする

「交わす」には、「やりとりする、まじえる」などの意味があります。「挨拶を交わす」「視線を交わす」のように使うことができます。

この記事のタイトルのように「攻撃を交わす」と書くと、「互いに攻撃しあう」という意味になってしまいますね。よって、例文の「嫌みを……のらりくらりと交わす」は誤りです。罵りあうという意味なら、「嫌みを交わす」と書くこともあるかもしれません。

「躱す」=さける、よける

「躱す」は、「さける、よける」という意味です。「身を躱す」「追及を躱す」のように、物理的にも、あるいは心理や状況としても使うことができます。

「躱」の字は常用漢字ではないので、新聞や雑誌では使われません。筆者もひらがな表記を好んでいます。漢字を見る機会が少ないため、「攻撃を交わす」のように誤って別の字が当てられるようになったのでしょうか。

「間に受ける」か「真に受ける」か

「間に受ける」は誤り

「間(ま)」には、たくさんの意味があります。あいだ、すきま、ひま……そのほか、部屋のことをさしたり、リズムやテンポ、タイミングを表したりもします。

ただし、どれも「〜に受ける」にはつながりません。「間に受ける」という表現は、「真に受ける」の誤変換から発生したものと思われます。

「真に受ける」=本気にする

「真に受ける」は、「ことば通りに受け取る、本当のことだと思う」という意味です。この「真」はまこと、つまり真実を表します。「冗談を真に受ける」のように使うことができます。

筆者は、どちらかといえば言われたことをなにもかも「真に受ける」タイプなので、社交辞令を言うにしても心にもないことは言わず、事実に反しない範囲の脚色を心がけています。